12月議会
冷泉小跡地に平和資料館を、ヤングケアラーへの抜本的な支援策を求めるとともに、髙島市長の政治姿勢をただす
日本共産党の中山郁美市議は、2021年12月20日、福岡市議会の一般質問で、福岡大空襲における戦災地である冷泉小跡地に平和資料館を設置すること、ヤングケアラー問題の市民への啓発と抜本的な支援策をつよめることを求めました。また、任期が残り1年を切った髙島市長の政治姿勢についてただしました。
福岡市は、1000人以上の命が失われた福岡大空襲に見舞われ、広島・長崎に次いで居住している被爆者が多く、戦後に旧満州等から帰国する方を139万人受け入れた日本最大の引揚港・博多港を擁する都市です。こうした福岡市の特徴について、保健福祉局長は「他にはみられない、本市特有のもの…後世に正しく伝えていくことは重要な課題」であると答弁しました。しかし、これだけの戦争体験や要素を持っているにも関わらず、福岡市には常設の平和資料館がありません。
中山市議は、福岡大空襲における戦災地でもあり、歴史遺産が発見されている冷泉小跡地に、市が提案しているような13階建てのホテルを建てるのではなく、地域住民の願いにもかなう「歴史・平和資料館」を設置することを求めました。
市長は博物館やふくふくプラザで資料の展示を行っているとして、平和資料館設置に背を向けました。
共産党市議団の質問や世論の高まりを受け、市は今年、ヤングケアラーの調査と相談窓口の設置を行いました。しかし、調査のやり方は十分なものではなく、相談窓口もこれまで独自に支援に取り組んでこられた団体等との協議もないまま突然打ち出されたものであり、極めて不十分な取り組みです。
中山市議は、支援団体の方々の意見を踏まえ、教育現場や福祉現場におけるヤングケアラー問題の研修の充実と市民への啓発をすすめ、改めて総合的な実態調査を行うことを提起。「地域ソーシャルワーカー」等の専門家を配置して、総合的に取り組みを進める担当部署を設置すべきだと指摘しました。
髙島市長の3期目の任期も残り1年を切るなか、中山市議は市長の政治姿勢について質問。コロナ危機への対応について、いくつかの点でただしました。
さらには、ワクチンとともに無症状者へのPCR検査を拡大すること、過重労働と人手不足でひっ迫状況に陥っている保健所の予算と人員を2倍程度に拡充することなど、新自由主義から脱却し、いのちと暮らし最優先にする自治体本来の姿へ抜本的な転換を図るよう市長に迫りました。
また、中山市議は、気候危機への対応とジェンダー平等の課題という、国際的にも大きな流れとなっている課題とどう向き合うかについても質問。気候危機への対応については、一方では「カーボンゼロ」を掲げ、他方では大型開発等の温室効果ガスの増加には頬かむりする市の矛盾した姿勢を批判し、市民参加で計画全般を見直すべきだとただしました。ジェンダー平等の課題では、市の計画では2025年までの女性管理職比率の目標が市役所で20%、企業で15%とあまりにも低いと指摘。積極的な数値目標へ変更し、諸計画や政策に「ジェンダー主流化」を根幹に据えるべきだと求めました。
市長はこれらの求めにまともに答えず、「元気で住みやすい都市だと国内外から評価をいただいている」と答えるのが精一杯でした。市政の抜本的な転換の必要性が浮き彫りになりました。