6月議会
10万円給付のパソナ委託問題、PCR検査の戦略転換を質問
福岡市議会の一般質問で、日本共産党の中山郁美市議は、2020年6月16日、10万円の特別定額給付金が遅れている問題で、市の給付事業を6億8200万円で受注したパソナとの契約のずさんさを明らかにしました。
市は当初、5月中の給付を目指すとしていましたが、現在の時点で全世帯の半数にも及んでいません。市民からは「遅すぎる」との声が広がっています。
中山市議は、給付の期限について、仕様書に明確な定めがなく、「遅れを生み出している根元ではないか」と厳しく批判。「いつまでに届けさせるのか」とただしました。市民局長は「7月10日までに9割」というだけで完了期限を明言できず。そのあげく、髙島市長は「他の政令市より早い」と自慢するありさまでした。
パソナには6億8000万円で仕事が渡され、パソナは事務処理センターの仕事と、区役所などの相談受付の補助の仕事だけをやり、残りの2億3000万円の仕事が子会社などに再委託(丸投げ)されています。
パソナがやる仕事についても、管理職が約7万円の日当で計算されるなど非常に高く設定されています。労働者には少ないお金しか渡していない可能性があります。さらに、市の設計よりも少ない人数しか配置していません。中山市議は「この差額がパソナのもうけになっていないか」と追及しましたが、市民局長は「金額は適正だ」としか答えませんでした。
また、委託契約について、議会による予算決定、市による事業設計書の作成、パソナによる見積提出、市の決裁、パソナと市の契約、小会社などへの再委託申請、市による再委託承諾などが全て「5月1日」であることが質問で判明。「すさまじいスピード。事前に仕込んでいたとしか考えられない」として「市とパソナのズブズブの関係で早々と決まっていたのではないか」と追及しました。
市民局長は「全くそういうことはない」とかろうじて否定しましたが、不自然さは説明できませんでした。
中山市議は市の責任で体制を強化して作業を一刻も早くせよと求めるとともに、給付を大幅に遅らせ、市民の苦しみを広げ続けていることに謝罪すべきだと髙島市長に迫りました。
中山市議はPCR検査についても質問し、ある障害者の男性で検査を受けられなかったケースを紹介。微熱が3日間続いて保健所に相談しましたが風邪の症状の有無を聞かれてもうまく答えられず「様子を見ましょう」と言われました。1週間たっても微熱が続いたため、再度検査を要請したが、「検査要件に該当しない」と頑なに拒否。男性の通うグループホームの施設長は「もし感染していたらクラスターになりかねない」と心配になり、厚生労働省に相談したところ保健所の対応は「機械的であり、問題がある」と回答がありました。
中山市議は、検査能力は増大しているのに、検査数はピーク時から大幅に減るなど、市が検査に消極的なのは、大もとの姿勢にあると指摘。18道県知事の緊急提言を紹介して、検査数の抜本増、医療・福祉関係者への優先的な検査など、積極的感染拡大防止戦略への転換を求めました。